説さんへ

高齢出産が社会問題化する一方、望まない妊娠・出産を経験する未成年や若年層は依然として後を絶ちません。セックスと避妊にかかわる知識、身をまもる社会福祉を知らない多くが貧困と密接です。現場で感じるのは、女性がいまでも圧倒的な社会的弱者だということ。

たび重なる社会保障の改悪に現場はこころを痛めています。新しい命の誕生は、家族の喜びであるとともに、社会の宝。おカネのあるなしに関わらず、正しい性教育を受け、望めば誰もが安心して出産できる環境整備こそ必要です。この願いに応えるのが政治の責任です。

ともに子育て真っ最中の親として、命と自由が尊ばれ、人間性がさらにゆたかに花ひらく社会の実現を図っていきたい。わたしは医療・看護の現場から、説さんは政治の現場から、社会進歩のあゆみを一緒にすすめていけたらと考えています。

東エルサレムのシェイク・ジャラで毎週末、占領や入植への抗議デモをしています。2015年春、イスラエル国政選挙の現地取材にひとりで来ていた説っちゃんが偶然そのデモを目にとめ、車から降りて陽気な英語で話しかけてきたのです。すぐに仲良くなりました。

丸腰のパレスチナ人を完全武装のイスラエル軍が制圧した同年3月末の「土地の日」。エルサレム旧市街のダマスカス門付近は催涙ガスがたちこめ、建物の屋上には狙撃手が身構えるなか、カメラを手に腰を低くかがめ、必死に現場を追う彼の姿が印象的でした。

支配する側とされる側、抑圧する側とされる側を鋭くかぎ分ける彼の嗅覚は、政治の場でも存分に発揮されると信じています。アラブの屋台でいっしょに買い食いしたこと、エルサレムのバーやわたしの自宅で毎晩のように語りあかしたこと、いい思い出です。

説さんは声がおおきい。ないしょ話とか無理そうだけど、嘘がないなと思う。声かけ上手で聞き上手、わたしの心のなかを正確に見抜いてくれるスペシャリストだ。社会の隅っこで、ひっそりと生きている人たちを見落とさない、信頼できる身ぢかなお助けマンなのです。

借金を機に、ふたりの息子と暮らしはじめ10年。最近では、二十歳になった長男が仕事帰りに買ってきてくれる缶ビールを分けあう。父親不在でも、「おれたち普通に生活してるよね」と気を使ってくれたりする。「大きくなった」…。反抗期を思い出し、胸が熱くなる。

別離による不利益を女性はより重く負う。子どもがいれば、教育費は収入をはるかに上まわる。そんな折、社会福祉との縁を取り持ってくれるのが地方議員の役目だと思う。困ったときに誰もが電話一本でつながる議員が近くにひとりはいてくれる、そんな区政は望ましい。

バブル崩壊後の就職氷河期を経験した〝失われた世代〟。企業は新卒採用をしぶり、リストラや倒産、不良債権が社会に暗い影を落としました。経済的な事情もあり進学をあきらめ、上京したのは10数年前。6つ歳上の説さんと出会ったのはその頃です。

説さんは、ひととの結びつきを大切にします。声をかけ、気にかける。存在を無視されないことで、どれほど救われたでしょうか。家族や友人をつくることが、いまや手の届かない夢にさえなっている。孤独がひとを死に追いやるほどの日常を、だれもが耐えています。

東日本大震災の津波で近しい人を亡くしました。郷里の岩手県大船渡市にとどまる仲間らは不安定雇用に身を置きます。生まれた環境が人生のおおくを決定づけ、主人公である本人が生き方を選べない。そんな矛盾は極限の被災地でより深刻に表れていると感じています。

「世界の火薬庫」と呼ばれる中東/アラブ諸国。欧米の列強支配に苦しむ民衆の困難に、こころを寄せてきた友人です。机を並べて働いたことはありませんが、講演会などで顔をあわせたり、情報交換や資料の貸し借りなどをして助け合ってきました。

どんな対象にも先入観をもたず、正面から取り組んできた野村さん。他者への偏見がなく、だれからの意見にも耳を傾ける。机上の研究にとどまらず、現場に入って感性を研ぎ澄まし、困難を分かち、ともにたたかう。そんな姿を拝見してきました。

これらはどれをとっても、議員として不可欠な資質です。世界に目を向けつつ、身近な生活者の暮らしと尊厳を守り抜く。野村さんには、打ってつけの舞台です。いっそうの活躍を期待しています。