豊玉保育園の民間委託について調査と検証を求める陳情書

去る6月6日、「豊玉保育園の民間委託について調査と検証を求める陳情書」が区議会議長あてに提出されました。
趣旨への賛同署名は計437人にものぼっています。

区立豊玉保育園は2017年3月、田柄第二保育園とともに2021年度からの民間委託を名指しされた園。同園に子どもを通わせる父母ら28人は2017年10月、「豊玉保育園の民間委託を考える会」を立ち上げ、委託反対の運動を続けてきました。

このたびの陳情は、その会から出されたもの。
陳情は、委託の説明責任や保育の質に言及したうで、「委託計画の凍結」を要求する内容になっています。

わが子が通う保育園も今年度、委託2年目。区直営園の頃からの「保育の質」の落差を肌で感じています。もちろん、現場の保育士さんの職務への取り組みを否定するわけではありません。あくまで保育行政の話です。

待機児童の問題は「認可保育園の不足」と「保育士の不足」に大きく集約されます。
保育士不足が解消されない大きな理由は、専門職であり重大な責任を負いながらも賃金が安いなど、処遇が低劣であることがあげられます。

それは国が示す公定価格自体が低いことに加えて、委託費の弾力運用が認められていることが主な原因。委託費の弾力運用は、国が民間参入を促進するために、保育で利益をあげられる仕組みをつくるという発想からなります。

本来、保育士の給与にあてるべき人件費を、事業費や管理費などの経費に流用することができるうえ、同一法人内であれば他事業への資金流用も可能になっています。

『ルポ保育崩壊』(岩波新書)の著者、小林美希氏は、練馬区内で事業活動以外への委託費の流用が支出全体の4割近くに達する園や、人件費比率が5割以下の園があると指摘しています。利益優先を可能にする仕組みが続く限り、保育士の処遇改善を十分に図ることはできません。

「練馬公共施設等総合管理計画」(2017年3月)では、今後10年をめどに、現在40園ある直営区立保育園のうち20園をさらに委託化し、それと並行して、あろうことか委託後の保育園の民営化にも言及しています。

委託化・民営化を進めるならば、良質な保育実践の蓄積や普及、継承が困難になることは明らか。
さらに事業者の運営が困難になった際、区の保育士が緊急に保育を担うと明記されている区の委託ガイドラインの担保を失うことにもなりかねません。

公定価格の引き上げを国に求めるとともに、保育士処遇の抜本改善が急務です。
これを有効な方策として保育士の確保に努めるとともに、区立保育園の委託・民営化計画の撤回を求めることが重要です。

保育行政の放棄につながる委託・民営化の推進ではなく、行政の責任で公的保育を拡充する方向で尽力してこそ、待機児童や保育士不足の解消はもとより出産・子育てしやすい自治体の実現が可能になると信じています。

 ⇒「豊玉保育園の民間委託を考える会」のホームページ